歯周病治療で新型コロナ感染・重症化予防を!

世界中で歯周病による新型コロナ重症化の報告多数

2020年後半より、世界各国で歯周病菌と新型コロナウイルスの関連について多くの研究結果が報告されています。

新型コロナ感染症での口腔内細菌の役割 The role of oral bacteria in COVID-19 」((英国医学雑誌ランセット)という報告にて、新型コロナウイルスの重症化リスクを高める要因に、歯周病菌などのお口の中の細菌が大きく関係していることがわかりました。

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新型コロナウイルスで亡くなった人のお口の中を調べると歯周病菌が大量に見つかりました。歯周病菌が出す毒素が、ノドの粘膜を傷つけてコロナウイルスが体内に侵入しやすくなっていたり、歯茎の炎症から放出される有害なタンパク質(IL-6)新型コロナ感染を全身で促進・悪化させる要因になるためと報告されていますそのため基礎疾患として歯周病のある患者が新型コロナウイルスに感染した場合、その重症化リスクが高まるとされています。(原文は下記リンク)

また、「新型コロナ感染症と口腔内の関連 THE MOUTH-COVID CONNECTION(カリフォルニア歯科医師会)」という報告においても、歯周病がある入院コロナ患者は、呼吸不全のリスクが高い」「歯周病で上昇する有害なタンパク質(IL-6)のレベルが高い患者は、生命にかかわる呼吸障害に苦しむリスクが高くなる」と報告されています。(原文は下記リンク)その他、数多くの論文で歯周病患者は新型コロナに感染しやすく、感染すると重症化リスクが高まると報告されています。

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各種報告にて、歯周病で上昇する有害なタンパク質(IL-6)のレベルが高い人は、肺炎にかかる確率が20倍以上高いとされています。また、新型コロナウイルス感染で、重症化しない患者に比べて、重症化した患者は有害なタンパク質(IL-6)のレベルが3倍高いことが明らかになっています。

子供がコロナ感染・重症化しにくい理由

子どもが新型コロナウイルスに感染しにくく軽症や無症状ですむのも、子どもには歯周病がほとんどないため、上記の感染・重症化リスクがないことが理由のひとつだといわれています。

一方、成人は程度の差はあるものの、その8割が歯周病といわれています。適切な歯周病の治療を行うことが、新型コロナウイルスの感染・重症化予防につながります

歯科受診・歯周病治療で新型コロナ感染予防を!

もっとも、新型コロナウイルスに限らず、「不衛生なお口の中・歯周病が、さまざまなウイルスの感染リスクや肺炎リスクを高める」ことは、臨床医にとって大昔からの"常識"でもあります。古くは100年前のスペイン風邪(インフルエンザ)でも、むし歯や歯周病のある患者はインフルエンザに感染しやすいという報告があります。

歯周病治療には、歯科医院で行うプロフェッショナルケアと、ご自宅で行うセルフケアがあります。プロフェッショナルケアとは歯科医院で専用の細い機械を使って歯周ポケットに溜まった汚れ(プラーク)を掻き出したり、歯の表面などについた汚れを定期的におそうじしていくことです。

 

それと並行して自宅ではセルフケアとして、毎食後の正しいブラッシングでの歯みがき(歯みがき・歯間ブラシ・デンタルフロス等)をして日々清潔に保つことが大切です。

歯周病とは?

「やっているつもり」でも、道具がご本人にあっていなかったり、歯ブラシだけで歯と歯の間のメンテナンスは怠っていたり、力を入れすぎていたり・・歯科受診して、セルフケアの専門家である歯科衛生士のアドバイスを取り入れ、効率的なセルフケアの方法を獲得していただけるとより予防効果が高まります。

プロフェッショナルケアとセルフケアのダブルケアで、新型コロナウイルス感染症にかかりにくい・負けない身体をつくっていきましょう!

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~ご興味がある方向け より詳しい解説~

歯周病菌が新型コロナ肺炎を重症化させる3つのしくみ

歯周病菌が新型コロナ肺炎への感染・重症化リスクを高めるメカニズムとして、

歯周病菌が放出する毒素・プロテアーゼでノド(気道)の粘膜が傷つき新型コロナウイルスの体内への侵入が容易になる

歯周病菌が放出するタンパク質インターロイキン6(IL-6)全身の重度の炎症反応(サイトカインストーム)の引き金となる

③歯周病菌による誤嚥性肺炎(ごえんせいはいえん)   の3つのしくみがあると言われています。

歯周病でコロナ重症化 ①毒素プロテアーゼ

歯みがきや歯科医院での口腔ケアを怠っていると、むし歯や歯周病の原因となる菌が増殖してプラーク(歯垢=しこう)や歯石になります。

このプラークや歯石には、歯周病菌以外にも、気管支炎や肺炎などの発症や重症化にかかわる肺炎球菌やインフルエンザ菌のほか、重篤な感染症の原因となる黄色ブドウ球菌などの細菌も含まれています。これらの細菌はプロテアーゼと呼ばれる毒素を出し、ノドの粘膜を傷つけて新型コロナウイルスが気道の粘膜から細胞に侵入しやすくする働きをもっています。

つまり、お口の中がネバネバしたり、不潔な状態を放置しておくと毒素プロテアーゼの量が増え、傷ついたノドの粘膜に穴があき、そこから新型コロナウイルスが体内に侵入しやすくなっているため、発症や重症化を招きやすくなるのです。

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歯周病でコロナ重症化 ②サイトカインストーム

自宅待機患者の急変・死亡が報告されていますが、その一因として「サイトカインストーム」が医療関係者の間で話題になっています。

新型コロナの重症化の原因に、免疫が暴走する「サイトカインストーム」が指摘されています。「急速に全身状態が悪化して、人工呼吸器が必要になる患者」など、急速な重症化の原因とみられるのが、サイトカインストームです。

サイトカイン」とは、細胞から分泌され、本来は体を守るさまざまな働きを持つ、たんぱく質の総称です。

ウイルスが細胞に侵入すると、免疫にかかわるサイトカインの働きが強まり、免疫細胞を活性化して、身体を守るためウイルスに感染した細胞を攻撃します。

感染症にかかると、発熱やだるさ、筋肉痛などが起こる。これはサイトカインが身体を守るために正しく働き、病原体と戦っている証拠です。

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ところが、何らかの理由でサイトカインが増えすぎると、免疫の働きが暴走する。これが嵐(ストーム)のように急速に起こる状態が、サイトカインストームです。ひとたびサイトカインストームが起こると制御できなくなり、本来自身を守るため・外敵を排除するためであった免疫が暴走し、感染した細胞だけでなく、正常な自身の細胞をも傷つけてしまいます。

サイトカインストームでは、血液が固まりやすくなる恐れもあり、血流が止まる血栓の原因にもなり、新型コロナの患者で脳梗塞(こうそく)が起きるケースが相次ぐなど、血管への影響も注目されています。

肺では、毛細血管をつくる細胞が傷ついたり、血管がつまったりして、必要な酸素が吸収できなくなる「急性呼吸不全」になってしまい、人工呼吸器などが必要になることがある。心臓、肝臓や腎臓など、さまざまな臓器で正常な細胞が傷つき、(多臓器不全最悪の場合は死に至ることもあります。

歯周病で歯ぐきに慢性的な炎症が起きていると、強力なサイトカインの一つであるインターロイキン6(IL-6)が大量に継続的に産生されます。

サイトカインの一つであるインターロイキン6(IL-6)のレベルが高い人は、肺炎にかかる確率が20倍以上高いと報告されています。また、新型コロナウイルス感染で、重症化しない患者に比べて、重症化した患者はインターロイキン6(IL-6)のレベルが3倍ほど高いことが明らかになっています。

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歯周病菌が放出するインターロイキン6(IL-6)により一度サイトカインストームの引き金がひかれると、連鎖的に症状が全身に拡大してしまう可能性が指摘されているのです。

歯周炎の原因となる口内細菌は、こういった形で、新型コロナウイルスを体内に侵入しやすくしたり、インターロイキン6(IL-6)を大量に生産してサイトカインストームの引き金・トリガーとなっている可能性が高いのです。

歯周病でコロナ重症化 ③誤嚥性肺炎

高齢化や、全身状態が悪くなると、嚥下反射やせき反射の低下、呼吸が不安定、口周囲の筋力の低下、舌の動きが悪くなる等さまざまな原因から、正常な嚥下(えんげ:のみこみの)がしにくくなり、「誤嚥(ごえん)」が起こりやすくなります。

食べ物が食道ではなく気管に入ってしまった場合、通常はむせて気管から排出する反射機能が働きます。しかし、この機能が鈍ってしまうと、気管に入り込んでしまった食べ物や唾液・細菌を排出できず、結果として肺炎を起こすことがあります。

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寝ている間にも唾液や胃液が少しずつ肺へ流れてしまう「不顕性誤嚥(ふけんせいごえん)」(気づかないうちにおこる誤嚥)も起こりやすくなります。このように、食べ物や唾液・細菌などが、気管に入ってしまうことを誤嚥(ごえん)といい、誤嚥が原因で起こる肺炎を誤嚥性肺炎(ごえんせいはいえん)といいます。

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この「誤嚥性肺炎(ごえんせいはいえん)」を起こす細菌は歯周病菌とかなり一致することが分かっています。つまり口の中の歯周病菌が肺に流れていくことで起こっていると考えられています。日本人の死亡原因は1位 がん、2位 心疾患、3位 肺炎となっており、3位の肺炎で亡くなる中に「誤嚥性肺炎」も多いとされています。それを引き起こす主原因は歯周病菌なのです。

特に人工呼吸器を使っている患者は誤嚥性肺炎を引き起こしやすいことがしられています。呼吸を助けるため口から気道にかけてチューブを取り付けていますが、このチューブによって歯からの細菌はかなり肺に入りやすくなるためです。

全身麻酔、そしてその後の集中治療室で、気管内挿管(人工呼吸をするために気管に管を入れる事)をしているときに、お口の中が汚れていると疽の汚れが肺に入り、肺炎(人工呼吸器関連性肺炎 VAP ventilator associated pneumonia)になってしまうというデータがあります

新型コロナ感染し、重症化して人工呼吸器を取り付けた際に、口腔内に大量の歯周病菌がいたら、そのリスクは飛躍的に高まるでしょう。

本来の新型コロナ肺炎に、合併して人工呼吸器関連性肺炎(VAP)となった場合は、致命的となることもあるでしょう。

逆にいうと、新型コロナウイルス性肺炎も、上記の誤嚥性肺炎・人工呼吸器関連性肺炎(VAP)を抑えることで軽症になる可能性があると言われてきています。

普段からの歯科治療・口腔ケアにより、歯周病菌が排除されているなら、そういったリスクは回避されるのです徹底した口腔ケアと歯周病の治療の継続により、新型コロナ感染・重症化予防が可能なのです。

 

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