親知らずの治療

親知らずの治療「奥歯の奥がうずく」「口の奥の方が痛い」。こんな症状が出たら、それは親知らずの仕業かもしれません。

親知らずは一番最後に生えてくるのですが、多くの場合、あごが小さい日本人はきれいに生えてくる場所が残されていません。その為に骨の中に埋まったまま出てこなかったり、横や斜めに生えてきて、歯並びを悪くしたり顎関節症を引き起こすなど多くの障害を引き起こします。

また、親知らずは奥歯の奥に位置するため、ブラッシングなどのメンテナンスも物理的に難しく、そのため歯ぐきの炎症を繰り返したり、隣の大切な奥歯も虫歯になってしまうことも少なくありません。

親知らずは最終的に抜歯すればよいのですが、隣の歯が歯周病やむし歯になると将来的に歯の寿命が短くなります。また、歯ぐきの炎症は、一時おさまっても特に疲れているときや体調が思わしくないとき、すなわち体の抵抗力が落ちて免疫機能が低下しているときに限って再発します。そのため、親知らずが一度でも痛くなったことがあるなら、早めの抜歯をお勧めします

親知らず抜歯 Q&A

どこの歯医者でも抜けるの?

はっきり言ってしまえば、歯科医師の経験と技量次第です。当科では口腔外科出身のドクターがいるため、ほとんどのケースで対応可能です。

当科では日常的に親知らずの抜歯を行っています。まずはご相談ください。

必要に応じて、CT等で神経の幹と完全に交差しているような場合は、神経麻痺のリスクを説明し、抜歯についてよく相談してから最終的な治療方針を決定します。

抜歯のリスクは?

下あごの親知らずを抜歯する場合は、特に下歯槽管という下あごの神経・血管を傷つけないようにする必要があります。

そのため必要に応じて術前にCTなどの精密検査を行うこともあります。

最終的に、神経マヒのリスクよりも抜歯によるメリットが大きいと判断した場合、抜歯の適応となります。

また、親知らずの隣の歯が知覚過敏などになる場合もあり、追加の処置が必要になることもあります。

痛みはあるの?

処置中は局所麻酔をしっかり行うので痛みはありません。また、ご希望があれば笑気ガスによる鎮静法も併用することができます。

術後に関して、上あごの親知らずは多くの場合、簡単に抜歯でき、術後の痛みもほとんどありません。

一方、下あごで深く埋まっている親知らずの場合は、術後はある程度の痛みは出ますので、強めの痛みどめを処方します。処置当日と翌日の午前中までは、痛くなる前に4時間おきに内服し、痛みどめが常に効いている状態にしてください。

処置の時間はどれくらい?

親知らずの埋まっている深さや、埋まっている方向、歯の根っこの形、お口の開けやすさ、年齢などにより、抜歯処置にかかる時間は千差万別です。

一般的には、上あごの親知らずは多くの場合、数分で抜歯が完了します。

一方、下あごで深く埋まっている親知らずの場合は、歯ぐきの切開や歯の周りの骨を削ったり、歯を2つに分割する事も多く、約30分かかります。

術後の注意事項は?

抜歯後の痛みや腫れ・出血などの不快症状を最小限にするためには、「血圧を上げないこと」が最も大切です。運動・飲酒などで「ドクッ・ドクッ・ドクッ」と血圧が上がると、「ズキン・ズキン・ズキン」という痛みも出てきます。

術後はご自宅で安静にして、無理に動かないのが一番です。また、患部を氷水などで冷やすと腫れも最小限になります。

さらに、創部に自然にできるカサブタがとれないように、激しいうがいや硬い食べ物は避けてください。

親知らずは必ず抜歯が必要?

抜かなくても良い親知らずもあります

○手前の歯と同じように生えてきていて、歯磨きも特に問題なくできる場合

○骨の中に完全に埋まっていて、レントゲン写真上問題が無い場合

○その他、特に悪影響を及ぼすことがないと判断された場合

上記の場合は、抜歯する必要はありません

妊娠前の抜歯がお勧めです

妊娠前の抜歯がお勧めです妊娠中には、ホルモンバランスの崩れから

「妊娠性歯肉炎」という病気にかかりやすくなり、親知らずも含めて歯肉炎のリスクが高い状態となります。また、つわりで歯磨きがおっくうになる人も多いようです。

歯肉が腫れると、歯と歯肉の間に歯垢がたまりやすくなり、歯を磨こうとすると歯肉から血が出るので歯磨きをするのがおっくうになり、磨けないからいっそう歯垢がたまりやすくなるというと悪循環に陥り、虫歯にもなりやすくなります。

妊娠中に虫歯や歯肉炎で痛みがでた場合、おなかの赤ちゃんが心配で治療ができないこともありますし、赤ちゃんが生まれてからの子育て中は、忙しくて歯科医に治療に行けないことも多いでしょう。

長い人生を健やかに過ごしていくためには、自分の親知らずには、どんなリスクがあるのかをきちんと知ること。そして、リスクの高い親知らずは放置しないということが大切です。

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